「美白」医薬部外品の有効成分別の効果

美白化粧品を目的に合わせて選ぶために

知っておいた方がいい「美白成分」の作用と効果について説明します。
「美白美容成分」にも流行はありますが、その効能効果は最も気になる部分かと思います。
「美白」における有効成分とその効果を把握し、商品を選ぶときの参考にしましょう。

 

 

美白における有効成分の働きと効果

「美白」=シミ・そばかすを防ぐお肌のホワイトニング

シミやソバカスの原因は【紫外線】です。紫外線を浴びることで活性酸素が発生し、お肌を傷つけます。
これを防ぎ、守ろうとして【メラニン】が生成されます。この【メラニン】というのがシミやそばかすを作る元となるのです。

「美白成分」とは、この【メラニン】に対して、3つのアプローチでこれらからお肌を守ってくれる成分です。

 

アプローチ1:メラニンの生成を抑制

メラニンができにくい状態にする、またはメラニンが出来てしまう過程を邪魔する成分です。
この役割を持つ成分は、紫外線を浴びる前に塗っておくとよいという事になります。

アプローチ2:メラニンの排泄を促進

「メラニンの排泄」=「ターンオーバー」と共にメラニンを排泄させようと促す成分です。
新陳代謝を高めることで、メラニンをどんどん追い出そうという働きを担う成分です。
この成分を含むものは、普段から塗っておくことで作られるメラニンをどんどん排泄して「シミやそばかす」をそもそも作らせないという事に繋がります。

アプローチ3:メラニンを還元

既にできてしまったメラニンを分解して、メラニンではないものに変えてしまおうという成分です。
「還元」=「酸素を外して別の物質に変える」という化学反応の事です。この化学反応により、本来「茶色や黒色」のメラニンは色のない、まったく別のものに変わり「シミやそばかす」として現れない、という事になります。
この働きを持つ成分は、紫外線を浴びた後のケアに最適であるという事になります。

 

代表的な美白美容成分


エナジーシグナルAMP

【表記例】アデノシン一リン酸二ナトリウムOT

天然酵母由来成分
【効果】メラニン排出促進

AMPとは、元々体内に存在する成分です。
エネルギー代謝を高め、ターンオーバーを促すことでメラニンの排泄を促進します。


ビタミンC誘導体

【表記例】リン酸アスコルビルMg(水溶性)
アスコルビルグルコシド(水溶性)
ステアリン酸アスコルビル(油溶性)
パルミチン酸アスコルビル(油溶性)
テトラヘキシルデカン酸アスコルビル(油溶性)
APPS(パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na)(水油共に溶ける)
APIS(イソステアリルアスコルビルリン酸2Na)(水油共に溶ける)

リン酸型ビタミンCなどの不安定なビタミンCを安定した形に変えたもの
【効果】メラニン生成抑制・還元、チロシナーゼ活性阻害

抗酸化作用の高いビタミンC単体では、壊れやすくお肌に浸透しにくいため、化粧品では基本的に改造したものを使います。
それが、ビタミンC誘導体です。メラニンに対して3つのアプローチをすべてこなす、美白有効成分の中でも万能で優秀な成分として注目される存在です。
水に溶けてお肌に浸透しやすく、長時間とどまるように開発されたのが【水溶性ビタミンC誘導体】
油溶性の成分はクリームや美容液、美容オイルなどに向いており配合されています。
化粧品と医薬部外品では表記名がかわることもありますが、ビタミンCの構造を意味する【アスコルビル】というのが、判断するときのキーワードとなります。
「リン酸アスコルビルMg」は、医薬部外品になると「リン酸L-アスコルビルマグネシウム」となります。


アルブチン

【表記例】アルブチン(β-アルブチン)
α-アルブチン

コケモモから抽出された成分
【効果】チロシナーゼ活性阻害

「アルブチン」は別名、ハイドロキノン誘導体といいます。
美白効果の高い【ハイドロキノン】は作用が強すぎて副作用も起こしやすい成分です。そのため、ほとんどのメーカーで安全のために使用しないか、もしくは配合量を極力抑えて使用しています。
この【ハイドロキノン】と似ている分子構造をもっているのが【アルブチン】です。コケモモなどの植物に含まれる成分で、メラニンの合成を阻害する作用があります。
「アルブチン」=「ハイドロキノン誘導体」と呼ばれていますが、【ハイドロキノン】ほど強烈な作用がないため、刺激も少なく安全な成分なので、化粧品の配合に使用されます。
また、「β-アルブチン」と「α-アルブチン」とありますが、「アルブチン」といった場合は一般的に「β-アルブチン」のことです。成分表示では「アルブチン」と表記されている場合はこちらになります。
では、「α-アルブチン」とは、ハイドロキノンにブドウ糖を結合させたもので、β-アルブチンの10倍以上のメラニン抑制効果があると言われています。しかし、刺激はほとんどなく安定した成分です。
大半の美白化粧品に配合されているのは「β-アルブチン」で、チロシナーゼの働きを阻害し、メラニンの生成を抑制する効果があります。


リノール酸

【表記例】リノール酸
リノール酸S

サフラワー油などの植物油から抽出される成分
【効果】メラニン排出促進、チロシナーゼ分解

リノール酸は、水分の蒸発を防ぎ、お肌を柔らかくする作用があります。
ベニバナやヒマワリなどの植物油から抽出される成分です。
「リノール酸S」=「リノレックS」とも呼ばれます。
チロシナーゼを分解して少なくし、メラニンの排泄を促進する効果があります。
「不飽和脂肪酸」には肌を柔らかくし、美白効果もあります。


コウジ酸

【表記例】コウジ酸

味噌や醤油に含まれる麹菌由来の成分
【効果】チロシナーゼ活性阻害

コウジ酸は、味噌や醤油・日本酒の発酵に使う「米麹」から発見された生理活性成分です。
日本酒製造の現場で働く職人さんの手が、白くてツヤツヤ美しいということから研究が始まった。という言い伝えがあります。
コウジ酸はチロシナーゼの中にある銅イオンを奪うことで活性を阻害する効果があります。これにより、メラニンが作られないようにしてシミやそばかすを防ぐ効果があります。


エラグ酸

【表示例】エラグ酸

イチゴ由来の成分
【効果】チロシナーゼ活性阻害

ポリフェノールの一種、医学部外品成分です。
コウジ酸同様にチロシナーゼの活性を阻害する働きがあり、シミやそばかすを防ぎます。
エラグ酸自体はブドウやイチゴなどの果実や木の実、茶葉などに含まれるポリフェノールで「イチゴ」の美白効果に着目し、そのポリフェノール成分であるエラグ酸に「美白効果がある」ということがわかりました。
商品に配合されるエラグ酸は、ペルー原産のマメ科植物である「タラ」から抽出されています。


プラセンタエキス

【表記例】プラセンタエキス

豚などの胎盤から抽出される成分
【効果】チロシナーゼ活性阻害

主に豚などの動物の胎盤から抽出するエキスで、保湿効果や皮膚の細胞を活性化する効果に優れている成分です。
胎盤powerでメラニンの生成に欠かせない「チロシナーゼ(酵素)」の活性を阻害し「メラニン」の生成を抑制、新陳代謝を高め「メラニン」を排泄させるため美白作用の効果があります。
精製方法により成分の違いは出ますが、アミノ酸類やビタミン類、ミネラル類、酵素などが豊富に含まれているため、主に「アンチエイジング化粧品」に多く配合されています。


4MSK

【表記例】4-メトキシサリチル酸カルシウム塩

慢性的なターンオーバーの不調に着目して研究された成分
【効果】チロシナーゼ活性阻害

4MSKは、殺菌効果に有効な「サリチル酸」の誘導体です。
チロシナーゼの活性を抑制するとともに、シミがある部分の角質層に作用し、たまったメラニンの排泄を促進します。


マグノリグナン

【表記例】5,5′-ジプロピルビフェニル-2,2′-ジオール

ホオノキの成分をもとに開発された成分
【効果】チロシナーゼ成熟阻害

下記の、ルシノールと同様に「木の成分」から生まれた、ホオノキの樹皮に含まれるポリフェノールですが、現在はあまり使われていません。


ルシノール

【表記例】4-n-ブチルレゾルシノール

北欧のモミの木に含まれる成分をヒントに作られた成分
【効果】チロシナーゼ活性阻害

ルシノールは、シベリアモミの木の成分に改良を重ね、チロシナーゼの活性を阻害する美白成分として生まれた成分です。


トラネキサム酸

【表記例】トラネキサム酸
m-トラネキサム酸
t-AMCHA
トラネキサム酸セチル塩酸塩(TXC)

抗炎症剤として使われていたトラネキサム酸を、美白成分として開発したもの
【効果】抗炎症、メラニン生成指令防止

複数のアプローチからメラニンを作らせない働きでシミやそばかすを防ぎます。
トラネキサム酸は、元々抗炎症成分として医薬品などに使えあれていた成分です。歯磨き粉などの成分としても目にすると思いますが、以前は「美白作用」は認められていませんでした。
t-AMCHA(t-シクロアミノ酸誘導体)は、情報伝達物質を抑制し、メラノサイトに指令が届かないようにするものです。
m-トラネキサム酸もメラノサイトを活性化する活性化因子の働きをブロックし、トラネキサム酸セチル塩酸塩も同様に情報伝達物質を抑制してメラニンの生成を抑制します。
トラネキサム酸は「肝斑(かんぱん)」=「ホルモン由来のシミ」にも、効果があることが認められている成分です。


カモミラET

【表記例】カモミラ花エキス
カモミラET

ハーブのカモミールに含まれる成分。抗炎症作用を併せ持ち、成分名としてはカミツレエキスという
【効果】抗炎症、メラニン生成指令阻止

カモミラETは、キク科の植物であるカモミール(カミレツ)の花から抽出される美白成分です。
カミレツエキスには「保湿・抗炎症・収れん・殺菌・血行促進」といった効果があります。
メラニンを作るよう指令を出す情報伝達物質である「エンドセリン」の働きを阻害し、メラニンの生成を抑えます。


効果の詳細について

最初に解説した「美白成分の3つのアプローチ」をさらに詳しく解説します。

 

A【メラニン生成指令阻止】とは

・紫外線を浴びることによって細胞を守るために「メラニンを生成しろ」という指令がでること自体を阻止し、メラノサイトが活動せずメラニンを作らない。

B【チロシナーゼ成熟阻害】とは

・メラニンを生成するチロシナーゼという酵素が熟成するのを邪魔する作用。メラニンの合成を防ぐのが目的。

C【チロシナーゼ活性阻害】とは

・メラニンを生み出すチロシナーゼが活性化するのをブロックする働き。チロシナーゼが働かなければシミのもととなるメラニンは生成されない。

D【チロシナーゼ分解】とは

・チロシナーゼを分解してメラノサイトでメラニンを作らせない作用。

E【メラニン排出促進】とは

・メラニン色素を減少させる働き。ターンオーバーを促進させる。

F【メラニン生成抑制・還元】とは

・メラニン色素の生成を抑制する作用。メラニン色素の沈着によってできるシミやくすみを予防する目的。還元作用はすでに沈着を起こしてしまったメラニンを薄くする働き。

G【抗炎症】とは

・その名の通り炎症を抑える作用。炎症によるメラニンの過剰生成を抑制します。

 

シミ対策のために「美白成分」配合の化粧品でケアするという認識はあっても、目的によって必要な成分が違うことがお分かりいただけたでしょうか?
シミが生成されるまでの過程において、どこにアプローチするべきなのかを理解しなければなりません。

その、シミが生成するまでの過程では3つの段階があります。
1. メラニン生成指令は発令される
2. メラニンを生み出すチロシナーゼが働き出す
3. メラノサイトでメラニンが生成される

1~2には「シミを予防する」ことを目的とし、A~Dの作用がある美白成分を配合した化粧品を選びます。
3には、「すでにできてしまったシミ」を改善するために、E~Gの効果を持つ美白成分を配合した化粧品を選ぶことが大切です。

ひとくちにシミに効果的な美白成分といっても、シミの予防を目的とするかすでにあるシミを改善したいかによって有効な美白成分は違ってきます。
お化粧品を選ぶときには「よさそうな美白成分が入ってるみたいだから」と曖昧ではなく、自分が求める悩みの改善にあっている成分を取り入れた化粧品を選ばなければ効果が半減してしまいます。

また、シミのタイプごとに原因も違えば、お手入れの方法も異なるため、あなたの「シミ」はどのタイプで、どんな対処方法が有効なのかも正しく分析してください。

Yuka

美容家の夫のサロンを手伝いながら、美容への興味が深まり「素肌の育成」について研究しています。20代前半でエステティシャンの資格を取得(ハリウッドビューティー)。日本化粧品検定2級取得。いつまでも美しくありたいと願う女性のために、正しいスキンケア知識を提供し、自分にあったコスメに出会えるよう、厳選した商品を紹介していきます。

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